診療のご案内
CKDが1ステージ進むごとに透析療法を要するリスクが高くなりますが、同時に心血管イベントのリスクも高まります。
逆にステージを前に戻せば透析導入だけでなく死亡のリスクも減少します。
血尿、蛋白尿を呈する方には腎生検などの結果に基づき最適な治療方針を立てて完治を目指し、既に腎機能が低下した方には腎機能を少しでも改善すべく、あらゆる手を尽くします。
透析導入に至らないようにするために、できることは全て行い、「慢性腎炎の完全緩解」「腎機能の回復」を目指します。
腎移植、腹膜透析、血液透析の3つがあることを患者さんに示しますが、その選択には戸惑いも大きいかと思います。そのため私たち医療者と患者さんとで、いっしょに考えてまいります。透析療法が必要な方には、シャントや腹膜透析カテーテルの手術を最適のタイミングで行います。また腎移植の紹介も行います。
当院での血液透析は、2020年度より火木土クールも開設し、より多くの透析患者の受け入れができています。また血液透析のほか、腹膜透析の導入や、腹膜透析に週1回の血液透析を加えたハイブリッド透析も行っております。
病棟・中央診療棟4階に人工透析室があります。人工透析部では血液透析以外にも、重症筋無力症やGuillain-Barre症候群、類天疱瘡などの自己免疫性疾患に対して施行される血漿交換療法、潰瘍性大腸炎やCrohn病、膿疱性乾癬などに対する白血球吸着療法、薬物療法に反応しない閉塞性動脈硬化症や巣状分節性糸球体硬化症に対するLDL吸着があります。このように血液浄化は多岐に亘るため、他科と連携を取りながら診療しています。
また当科はCKD保存期のときから全身を診ることの重要性を意識しており、透析患者だけでなく保存期CKD患者に多い心血管合併症や骨粗鬆症にも気を配っております。これらは貧血や鉄欠乏への介入、あるいはミネラル骨代謝異常に対する介入で改善することもよくあり得意とするところです。
2021年より電子カルテ上で早急に電解質異常を主治医に通知し、当科への紹介を促す「電解質バスターズ」というシステムを立ち上げ、他科からコンサルトを早急に行える体制も構築しました。
さらには、悪性腫瘍に伴った腎障害に対応する腫瘍腎臓内科外来も火曜に開いています。